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0816 杉本文楽 木偶坊 入情 曾根崎心中 付り観音廻り

杉本文楽 木偶坊 入情 曾根崎心中 付り観音廻り
作 : 近松門左衛門
構成・演出・美術・映像 : 杉本博司
作曲・演習 : 鶴澤清治
振付 : 山村 若
公演期間
2011.8.14(日)―8.16(火)
会場
KAAT 神奈川芸術劇場 大ホール
公演スケジュール
14日 (日)16:00
15日(月)13:00/17:00
16日(火)13:00/17:00
※開場は開演の30分前
※上演時間:約2時間30分(休憩20分を含む)
現在、人形浄瑠璃文楽座の公演演目『曾根崎心中』(現行曲)では演出の都合上、
原文の一部が割愛されたものになっていることはご存知だろうか。
しかし今回の記念公演では、原文に忠実な『曾根崎心中』の舞台化をめざすため、
序曲「観音廻り」を復活。
また、江戸時代(元禄時代)の初演のさい、人形はいまの“三人遣い”ではなく、
“一人遣い”だったことから、本公演では桐竹勘十郎が復活する「観音廻り」の段で、
“一人遣い”に挑戦、あらたに「お初」の一人遣い人形を制作し、これに臨む。
タイトルは・・・
「すぎもとぶんらく でくのぼう いりなさけ そねざきしんじゅう つけたりかんのんめぐり」
と、読みます。
文楽自体初体験の僕ですが
客層は、いかにも文楽観てます!っていう和服の方々や
お師匠さん、先生が出演されてますって感じの方が多く
その隙間に、杉本ファンがいる?って感じの会場。

普段の文楽と何が違うのか?あちこち調べたら
どうやら
衣装がエルメス
字幕がない
縦構図の舞台がある
大きなスクリーンが登場する
セリがある
床がない
照明が暗い
カーテンコールがあった
・・・などらしい、間違ってたらゴメンなさい。
杉本さんの作品や展示会を見たことがある方に
分かり易く説明すると
照明は暗くて、中にはよ~く目をこらさないと
暗闇の中に見えないものがあるようなシーンで始まり
セットのバックは、時にスクリーンが登場し
杉本さんが撮影した、文楽人形などの動画が映写され
セットはすべて杉本さんの「作品」なので
簡素で省略された、直線的な階段や橋や戸が登場します
そこに置かれた家具は全部、杉本さんが収集した古美術品

床のセリから急に「十一面観音像」がせり出してきて
人形がそれにすがって、共にせりを下がっていったりします。
解説によると
「豊竹嶋大夫(太夫)・鶴澤清治(三味線)・吉田簑助(人形)と
現代美術作家・杉本博司との夢の共演!!
杉本博司の型破りなコンセプトに賛同した
豊竹嶋大夫(切場語り)、鶴澤清治(人間国宝)、吉田簑助(人間国宝)が、
誰も観たことのない「文楽」に挑みます。」
とうことで、語りと三味線などの演奏は確かにすごく
「音楽」としても超一流であることは誰でも解るし
その中に、いきなりラップ風な転調(?)があったりするので
杉本好きにはたまらない瞬間の連続。
さすがに字幕がないので、語りの詳細までは分からず
話の入口にはちょっと戸惑いますが、
文楽人形の表現と動きに次第に引き込まれてゆくと同時に
感情移入すら出来るようになってくるのには
正直ビックリ!

最後の心中部分は、杉本さんの有名な「松林図」を
杉本さん自身で撮影し動画化した背景が、ゆっくりと流れる中
二人の人形!が、この世のものとは思えない芝居みせ
会場の涙を誘います。
僕の隣の席にいた、78歳になる女性は
ちゃんと前売りでチケットを買って
今朝、ひとりで大阪から新幹線で来てる方でした。
終わるなり「素晴らしいわねえ~!」って独り言をいい
涙ボロボロの顔で、僕の肩に手を乗せて・・・
重い腰を上げ拍手を送っていました。

超現代と原始への試みは、杉本さんの大きなテーマのひとつで
ちょっと予備知識がないと解り難い部分もあるんですが
今回の「試み」はとても分かり易くシャープで
久々に大きな、体験的な刺激をいただきました。
ただ、文楽のことを知りたくて他のブログ等をみると
やはり好評だけではなく
なんでカーテンコールをやるんだ
人間国宝や無形文化財に何をやらせるんだ
セットが解り難い
人形が宙に浮いてる
・・・などなど、ハッキリとは言わずとも
伝統芸能を守ろうとする方々の苦言も聞こえて来ます。

帰りのロビーでは
杉本さんは、会場の隅でファンの握手やサインに
いつもの笑顔で快く対応されていましたが
その列には和服のお客様の姿はひとりもなく
そういう方はそういう方同士で固まって
あちこちで大声で、文楽絶賛の嵐でした・・・。
なので、ある意味「失敗」かも知れないけど
それを僕みたいな観客が見て分かるというのは
杉本さんの策略であり、裏でニヤッとしてると思います。

僕はもちろん
杉本さんとチョコッとお話しをさせていただき
上演台本にサインをいただき
最新刊「空間感」のサイン本を購入し
有頂天で帰路につきました♪

NHKのカメラが数台入っていました。
いずれ高画質で放映されるか
ソフト化もされるものと思います。
また、楽しみが増えました。
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