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かわえうた

言葉にできないものを歌にするのが自分の一生の目標 minako kawae

1207 イイホシミチコ:涙、出てきた 

12/7(土)
Blowin' 東区馬出

2017y

【出演(演奏順)】
■岡村釦
■いすけ(北九州)

イイホシミチコ
1.答え知っていたとしても、尚
2.ある冬の日
3.ハノンの風景
4.ビューティフルワールド
5.あなたと一緒にいたいのは
6.触れる
7.once upon a time and ...then

■Isojin
■藤本陽一



■イイホシミチコ

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キーボードをセッティングし
いつものようにポロポロと弾きながら
軽いあいさつで曲紹介


1.答え知っていたとしても、尚
最近のミチコさんの曲では代表的なメロディかも知れない
静かに唄い始めるミチコさんの声は、
まる過ぎず痛くもなく、切りたての爪のような白さが心地いい

「この曲は最近作った曲
弾き語りは10代のころから音楽室の後ろの方で弾いたり
その後、バンドとかもやって
でもここまで続けるとは思ってなかったので・・・」



2.ある冬の日
冬になり始めのまだちょっと暖かい陽射しがみえる感じの
そんな冬の日の散歩のよう
ひとりじゃちょっと寒くて距離のある道も、ふたりなら難なく歩ける
体温をちょっと感じながら、明日の話しをちょっとする
ぬくもりを感じとる冬のすてきな瞬間
こういう歌を唄わせるとミチコさんは絶品


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ハノンを軽く披露・説明し
でも、これはミチコさんにとっては「母親の曲」
母と心が通じ難かった時期・・・
と、曲紹介しているうちに
「涙、出てきた」と揺れるミチコさん
何とか弾き始めにこぎつけたものの、
瞳は涙でいっぱい

3.ハノンの風景

石油ストーブの上で「おかえり」ってやかんが蒸気を出す
その蒸気で すぐそばのガラスがくもる
曇ったガラスはキャンバスで
笑った顔もすぐに泣いちゃうの
ねえ見て面白いでしょう

かじかんだ指を温められるように
お母さんが 青いバケツに
お水とお湯をいい具合の配合で用意してくれる

手を温めてから私はピアノに向かいハノンを弾いた
ハノンはただ同じ旋律の繰り返し
だけど 何故か次第に心地よくなる
ピアノの上には 額に入れられた
日曜版の新聞の切り抜き
のどかな田舎町の風景


感情を言葉の裏側に押し込めて書いたような歌詞
そっけない、でもきっとミチコさん自身の心の中のある部分には
チクチクとつながる日常の欠片たち
それらが、多分とっても素直に並べられているから
歌としてステージから外に向けて投げかけている時はいいけど
ふと心が動いた瞬間に、唄が自分の内に向かい始めちゃったら
直に脳を刺激し、言葉が映像になって動き始めてしまい
そこには自分もお母さんも登場してくるわけで
そりゃ、まともに唄えない。

ってのは、唄わない僕でも解る。
特にこの曲は、
ゆっくり噛みしめて唄わせてくれない独特のリズム感とメロディ・ラインなので
多分、物理的にも作者を責める楽曲なんだろうなと思う
決して意図的なものではなく。

ちょっと悔しそうに
叩きまくるようなエンディングのピアノは
こっちも泣きそうでした



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「ここで気分をかえてギターを・・・」

4.ビューティフルワールド
5.あなたと一緒にいたいのは

ギターもずいぶん練習したみたい
変な付加感がなくなり、しっかり3ピースバンドのような響き
誰かが言ってたけど、ピアノ弾き語りの合間に
ギターの伴奏や間奏があってもいいくらい

まだ変な欲が露骨に出てこない丁寧な演奏なので
アメリカのウエストコーストあたりの、やたら達者なギターではなく
デビッド・ボウイのアルバムで聴けるアコースティック・ギターのような
伴奏というより「一緒に演ってます」という存在感があるので
聴いてて温かみがある。


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6.触れる
ピアノの弾き語りでは絶対出てこないような
やりたいことを抑えながら、ボーカルを引き立たせたとてもいい曲
やさしく触れてくるようなアルペジオは、
ゾクゾクする色っぽさが・・・素敵でした。



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ステージ前に
事前におおきな紙に書いてきてたセットリストを
チラッと見せてくれたけど
なぜか今夜は、写真も撮らずシッカリ見もせずに、
duoに目を落とし、手袋をしたきれいな手を眺めてたけど・・・

「では鍵盤に戻って・・・
今、寒くて指が動かないです
今日はセットリスト書いてきたのに大幅に狂ってますね・・・
なに唄うかな?最後の曲を・・・
では、おばあちゃんの歌を
今日は家族の歌を2曲いれてきたのでやっぱり最後は
「once upon a time and ...then」
戦争で旦那さんを亡くしたおばあちゃんの歌なんですけど・・・」


と、終わっていない
癒えない傷と悲しみをかかえたまま
いままでつづいている戦争を言葉少なに静かに語り
激しく強く演奏された曲

7.once upon a time and ...then
間奏で表現された、戦場、戦火に包まれた空、逃げ惑う人々
そのすべてをのみ込んで体にしみ込んだ過去を語る先人
言葉からイメージを膨らませ、その気持ちを汲み取ろうと
あたふたする現代人
そこには、ありふれた反戦や戦争批判ではなく
時代を理解しようとする正直なひとの気持ちがあり
そこから何かが生まれてくる「希望」を感じさせるミチコさんの歌が
静かに光っていました。

end




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新しい曲中心に組まれたステージ
気持ちが素直に溶け込んでるんだろうなというのが、とても良く解る曲の流れ
いい意味素直ではなく、ひねくれた変な味がして
聴くたびに旨味が出るけど、噛みしめて出るスルメではなく
色とりどりの野菜サラダのような、
美味しいドレッシングの間にハッと味が現れてくる
新鮮さと香りがありました。

ではまた来年。



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