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かわえうた

言葉にできないものを歌にするのが自分の一生の目標 minako kawae

ボブ・ディラン「Triplicate」 

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収められた歌の多くは長い年月の間、そのままの形で歌われるだけでなく、甘く優しい曲に変えられたり、アドリブの付加や楽器に合わせた編曲が行われたり、骨子だけが生かされたり、過剰に膨らませたり、練習曲になったりして、歌い継がれてきた

・・・(中略)・・・

(ボブ・ディランが)歌のほんとうの意図を見つけてそれを自分自身のものとしたことで、新しい花を咲かせている。彼は歌に挑戦するのではなく、鋭い見識と音楽への深い造詣をもって理解することで、それをしている。その感触は、秋の日差しに似ている。歌が語るのは、いまはないもの、手の届かないものへの強い思いだ。とりもどせない過去、愛と喪失につながる愚かなおこない、わたしたちのだれもが知っている時間、ずっとそこにあって、いまもそこにあるもの、決して二度と起こらないもの、わたしたちのものでありあなたのものであるが、それでいて―そうだからこそ―とてもたいせつなものへの思いだ。アルバムに収められたパフォーマンスには、濃縮されて純化した美がある。芸術や技術の域を超える美、生きる糧となる美がある。
歌はただあるだけでは、ものでしかない。それが力を持つには歌い手が必要だ。アーティストが、歌を力あるものに変える。それは大昔から伝わる魔法と科学をないまぜにする錬金術に似ている。偉大なアーティストは、魔法とテクニックの境界を活動の場とし、術を駆使して、何が人の心の真実であるか示して見せる。


・・・(中略)・・・

だれにとってっも時間とは通り過ぎていくものだが、懸命に精進し、深く感じ取り、眼をそむけずに注視すれば、一瞬であっても時間の歩みを止める芸術作品をつくる幸運に恵まれるのかもしれない。ディランはこのアルバムで、それを成しとげた。このアルバムは、空の星のように、長い年月のあいだ時をとじこめて、深い光を投げかけ続ける。さあ、その星を見てほしい、とても美しい星を。


―トム・ピアッツァ




一部の転載で申し訳ないくらいの
緊張感あふれる(by dylan)ライナーノーツもすごい。
書いたのは、
あのスコセッシ「The Blues」(2004年)のライナーノーツで
グラミーを授与されたトム・ピアッツァ。
昨年3月のアルバム発売以来
ずっと頭をめぐりめぐって、
今もなお鳴り続けるディランの傑作は
今年もなお僕の脳裏で光り輝く。

そして・・・

だれにとってっも時間とは通り過ぎていくものだが、
懸命に精進し、深く感じ取り、眼をそむけずに注視すれば、
一瞬であっても時間の歩みを止める芸術作品をつくる
幸運に恵まれるのかもしれない。


これはまさにZEPの「天国への階段」
2018年もゆらぐことなし。


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