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かわえうた

言葉にできないものを歌にするのが自分の一生の目標 minako kawae

0326 谷代悠☆風の中へ溶ける。吐く息みたいに。 

2017年3月26日
開店19時 開宴19時半
御縁屋二階店
『歌酒』うたげ

出演
谷代悠
ぬ さん
シナプスさん



14598s

■死後硬直
決して妥協するという意味ではなく、
自分の心身にどう折り合いをつけて唄ってゆくのか、
それはシンガーソングライターの命題のようなもので、
その過程と終わらない結論が楽曲やライブとなって僕ら観客の心に届く。
ライブは生ものというけれど、
今夜の悠さんのライブは生もののライブだった。

刺身が一番美味しいのは絞めてから数時間後と言われてるらしい、
「死後硬直」あたりが何かがどうにかなって美味だと聞いたことがある。
また、よく店頭の水槽などに入れられた魚の(その場での)活きづくりは
ストレスによる疲労が影響し、
なんかがどうにかなって味の劣化につながるらしい。
今夜の悠さんは、決して絞められてもいないし死後硬直もしていないけど、
そんな刺身の「美味い!」という味はきっとこんな味だろうな・・・
と、考えたりもした。

■今さらのブルース
奴隷制度のなか黒人たちは、
持って生まれたスピリチュアルと
労働の中から生まれたワークソングを持ち続けていて、
1860年すぎの南北戦争が終わり
奴隷解放により自由の身になった時にギターを手にして
ブルースが生まれている。
自己否定から自己肯定へ、
そして自己形成に向かうブルースのその歴史は、
悠さんが今の年代で唄うドロドロとした自由に似ていて、
自分の意思があまり入り込まない中での、
家庭や家族からの解放(あるいは一方的な解放)
とその身をあずける社会をステージにした、
自己形成の現場に立ち会っているようなライブ感を味わえる。

harukaune

地元には土手の先に丘があって
『アルプスの少女ハイジ』みたいな場所があって。
なんか馬とか牛とかいて鳴き声が遠くから聞えるんやけど。
建物が一切なくて空が広がる場所で
アコギ弾いて歌うと本当に気持ちが良い。
そんで、その音楽はすぐに風の中へ溶ける。吐く息みたいに。

~谷代悠~



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■そして今夜
バンド「アネモイ」での経験も彼女に肉体的な力を与えていて、
今夜のように声にハンデを背負った時に
体全体の表現が実にいい表現を魅せる。
叫びたくても絞り出せない弱い声を補うかのように、
体全体の動きはいつにも増して大きく、
いつもドッシリ構えて唄うボーカルの説得力を体のうねりがカバーして、
結果として同じ熱量を伝える技になっているのは凄い。
本来のギターは
切れ味のいいハードなカッティングで聴かせるひとだけど、
今夜の力ない弦の響きも決してそこに停滞することなく、
上手く柔らかい方へシフトしていて音の幅は変わらないプレイになっており、
演奏の表現としては過不足ない結果になっていたところも
工夫がみられて「なるほど」
決して100%の夜ではなかったけど、
下手すると60%以下に落ち込むところを85%で持ちこたえたな!
という印象。

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僕にとっては、聴けたことがとても嬉しかったライブで
一緒に跳ぶことは出来なかったけど、
なんか静かな形にかえて「ありがとう」と
感謝を伝えたくなるような素敵な夜でした。


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